2年前の2011年3月11日午後2時46分、東北三陸沖で巨大地震・巨大津波が東日本沿岸部を襲い、福島第一原発の大事故が惹き起こされました。巨大津波と原発事故の映像は、遠く離れた九州に住む私たちにとっては、まるでSF映画の中の光景を観せられているのかと思わされる程あまりにも衝撃的なものでした。
この東日本巨大津波大震災による死者・行方不明者は2万人近くに上り、未だに数十万人もの被災者が仮設住宅や避難先での辛い暮らしを強いられています。
原発事故の状況が明らかになるにつれ、目に見えない放射線の脅威が日本だけでなく、世界中に拡がりました。懸命に踏ん張る被災者に耐え難い苦痛を与えるとともに、被災地の復興を妨げています。ところが、安倍首相は1月28日の所信表明演説で、「『2030年代の原発ゼロ』をゼロベースで見直す」と明言し、「安全性が確認された原発は再稼働する」と表明しました。又、これからのエネルギー政策の最大の課題である原子力発電から生じる使用済核燃料をどうするかという点には全く触れようとさえしていません。そのような状況の中で、マスメディアの報道からは、次第に原発問題が忘却の彼方に送られているのではないかという危惧を覚えます。
広島・長崎への原爆投下とともに、スリーマイル・チェルノブイリ・福島の一連の世界的な原発大事故は、人類と自然環境、地球上の全ての生命(いのち)に多大な犠牲を強いています。今、私たちは、「まだ原子力に頼り続けるのか?」と深く問われ続けられています。そして、私たちの生き方や日本の国としての在り方さえも問いかけられています。
一昨年の10月29日、「さよなら原発おおいた集会」で福島から避難してきたお母さんは訴えました。《九州の皆さんは私たちと同じ犠牲を受けないでください。こんな原発の犠牲になるのは私たちだけでたくさんです。私は今すぐにでも福島へ帰りたいのです。でも帰れません。私たちは何か悪いことをしたのでしょうか?もう、こんなことで家族が引き裂かれて、涙しながら生きるなんて真っ平です。どうか一刻も早く全ての原発を止めてください》と。
これ以上の悲劇を繰り返してはなりません。昨年の猛暑も原発なしで乗り切れました。もはや原発は必要ないことが証明されました。いまこそ私たちは見えない、音のない、嗅わない、味のない、触れえない放射線と原発問題に真正面から向き合い考える必要があります。チェルノブイリから1000㎞以上離れたドイツにおいては、1986年のチェルノブイリ事故以来、キノコを食べることは禁じられています。セシウムなどの放射線が食物連鎖を通して人間に内部被曝を引き起こすという健康問題にもしっかりと眼を向けることを忘れてはなりません。
広島・長崎の原爆を体験し、放射能の恐ろしさを知っていたはずの私たち、そして戦争による唯一の被爆国である日本が、福島原発の事故によって世界中に放射能の脅威を発する立場になりました。
私たちが本日3月10日に集ったのは、3・11の犠牲者への追悼と原発事故の悲劇をこれ以上繰り返させない誓いを共有するためです。
「ノーモア ヒロシマ、ノーモア ナガサキ」そして、これまでの認識を超えた「ノーモア フクシマ」というスローガンの下、同じ過ちを繰り返さない世界を実現させ、未来そのものである子どもたち、そして地球上のすべての生命(いのち)のために、 “いのちのわ” をつなげていくことを、ここに宣言します。
2013年3月10日
311 さよなら原発おおいた集会